ちょっとしたことをきっかけに、以前祖父の家があった場所を
ストリートビューで見る機会があったのだが、
既に元にあった建物は取り壊され、違う家が建っていた。
祖父は、とても人望の厚い人で、
朝5時には、祖父の診療を受けたい人たちが
行列を作ってしまうものだから、
祖父は、そのぐらいの時間になると
一度起き、待合室のカギを開けてから
診察時間までもう一度寝る、という生活を送っていた
内科であれば、近所の寄り合い所になるのも珍しくないかもしれないが、
祖父は、歯科医であった
場所も、決して田舎ではない。というか、
渋谷から電車で20分の場所である
幼い頃から、その場所に慣れ親しんだ身としては
それが当たり前の光景であったが
今考えると、脅威的、というかもうなんていうか
ありえん。としか言えない。
で、そのあり得ない場所を、うちの父は
祖父の遺志・・・かな。で、継ぐことになったのだが
結果としては、上述の通り
その場所は他人の手に渡り、元あった建物は取り壊され
違う建物が建ち、今は、知らない人が住んでいる
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あの場所が手放されたのは、もう10年以上前の話だ
わかってはいたことだったが、
自分の目で見てしまうと、依然 喪失感はかなりある
短い期間を過ごしただけの私ですらそうなのだ、
あの家で生まれ、育った人間の痛みは計り知れない
故に、あの場所を手放した父は恨まれた
祖父にして見れば、父を助けるつもりで
あの場所を父に継がせたのだけど
それに、母の兄弟は皆、他の場所で開業しており
いずれは取り壊される運命ではあったのだけど
だけど、それを一度受取り、存続させることが出来なかった父は
恨みを一身に背負うことになったのだ
腕が悪かったわけではない。
ただ、祖父ほどの人望が、父には無かったというだけ。
では、祖父ほどの人望があるものが他に居たかと言えば
普通に考えれば、居なかった
もしかしたら、他の場所で開業していた実子であれば
可能性はあったかもしれない
朝9時からの診察を、朝5時に待つ人がいるような場所に出来る可能性
・・・私だったら、怖くて継げなかったな。
なんで、父は継ぐなんて言っちゃったんだろう
プレッシャーは感じていたみたいだけど
それでもきっと、わかっていなかったんだろうな
腕が良いだけが、全てではないってことを
人が望むものはそれじゃないってことを
或いは、もう後ろが無かったからかもしれないけど
仕事を理由に、面倒も見ていなかった兄弟が突然やってきて
じーさんの病室で、遺産のことばかり言っていた兄嫁も嫌だったが
父が母の兄弟に恨まれることを目の当たりにするのも、
母が兄弟のことを悪く言うのを聞いているのも、
その兄弟喧嘩のようなもののとばっちりを受けるのも
祖父はそんな結末は望んでいないのに
ということを、心の中でつぶやくぐらいしか出来なかった
様々な 人が望むもの を 横目に
私は、祖父が望むもの が 現実になるためには
どうすれば良いのか を 必死に考えていた
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